古いNECノートPCにLinuxを入れたら起動しない!― インストール後に起動できなくなったトラブルから得た教訓 ―

はじめに:
 Windows10にアップグレードして10年以上使ってきたNECのノートPC Lavie(PC-LL750CS6B)にMX Linuxを導入した。(前回のブログ)
 今回は、その過程で遭遇した「起動トラブル」と、そこから得た教訓をまとめる。

1.トラブルの経緯

 USBメモリーからMX Linuxをインストールして正常起動。
 「よし、順調…」と思ったのも束の間、再起動すると再びブート選択画面が出てくる。
 インストールしたSSDを何度選択しても起動しない。
 ただし、USBメモリーからMX Linuxを起動し、そこから起動ドライブにSSDを選ぶと正常に立ち上がる。
 BIOS診断結果でも、ハード自体には問題がなさそうだった。

2.もしかしてCMOS電池か?

① 地獄の完全分解へ:後戻りできない作業開始

・CMOS電池を交換するべくネット検索。
 しかしPC-LL750系の分解解説はあるものの、肝心のCMOS電池の位置は分からない。

・底面にはメモリーやストレージ用のアクセスカバーはある。
 が、開けてもCMOS電池はどこにも見えない。

・そこで完全分解を決意。
 ガッチリはまったカバーを爪の折れる音にも動じずにこじ開ける。
   底面カバー、キーボード側、基板…
と分解していき、ようやく辿り着いた。
   「あ…ここにあった!」
でもその瞬間、妙な違和感が…。
   「メモリーの横?」

② 落ち(オチ):分解後に気づいた真実

 分解した基板に底面カバーを合わせてみると、CMOS電池はメモリー用アクセスカバー内に収まり…。
 その位置には、柔らかいシール様ものがあり…、
   剝がれるではないか!?
 まさに剥がした直下がCMOS電池だった。(流石NEC)
 つまり――分解しなくても交換できたのだった。

 作業時間:丸一日、折れたツメ:数ヶ所、心の傷:深め

 しかも、CMOS電池(ML1220)をAmazonで購入し交換してみたが起動しなかった。
 原因はCMOS電池ではなかったのだった。

教訓Ⅰ
 Lavie PC-LL750CS6B のCMOS電池は、分解しなくてもメモリーのアクセスカバーを開けてシールを剥がせば交換できる。

 CMOS電池交換でも直らなかったため、チャッピー定岡に相談。
 そこで指摘されたのが「ドライブのフォーマット形式の不一致」だった。
 この年代のレガシーBIOSでは、MBR形式でフォーマットされたドライブでないと起動できない場合があるらしい。Lavieはかなり古く、BIOS画面にもUEFIの記載はなかった(完全レガシー世代?)。
 
 確認のためMX LinuxのUSBから起動し、ターミナルで
   sudo fdisk -l
を実行すると
   Disklabel type: gpt
と表示された。つまりSSDはUEFI(GPT)形式だったことが確認できた。

 インストール時に、デフォルトのGPT形式のままMX Linuxを入れてしまったらしい。
 以前のWindows10は、MBR形式でインストールしていたので問題なかったということか。

1.解決方法:SSDを初期化し、MBR形式で作り直して再インストール

 最短で一番確実な方法

 ① MX Linux のインストールUSBで起動
 ② 標準機能のGParted(ディスク管理)を開く
   ・ 対象SSDを選択(/dev/sda)
   ・ すべてのパーティションを削除(右クリック→削除)
   ・「デバイス」→「パーティションテーブルの作成」→「msdos」を選択
    (=これがMBR)
 ③ 空になったSSDに、あらためてインストールUSBで再インストール
 ※ MBR変換は Windowsより「Linux上(GParted)」でやった方が失敗が少ない

これで解決。再起動しても正常起動するようになった。

2. 他の古いノートPCで問題がなかった理由

 古いノートPCは、だいたい次の三タイプに分かれる。

 ① ほぼ完全レガシータイプ(今回のLavie)
   ・ UEFIなし
   ・ MBRじゃないと起動しない
   ・ Linuxとの相性にムラあり
 → 少し設定がズレただけでも今回のようなトラブルに

 ② レガシー+UEFIの中間世代
   ・ 見た目は古いけど中身はやや新しめ
   ・ UEFIが裏で動いている
   ・ GPTでも起動できる
 → だから何も意識せず、そのままインストールできる

 ③ 見た目だけ古く、中身は新しいタイプ
   ・ Windows8 / 10 世代
   ・ UEFI前提
   ・ GPTが当たり前
 → Linuxとの相性も比較的よい

教訓Ⅱ
 古いPCは、OSを入れる前に「UEFI対応かどうか」BIOSを必ず確認し、非対応であればMBR形式でインストールすること。

LavieのBIOSーUEFI Bootの項目はない
VersaProのBIOSーUEFIなどの記載はないが業務用系でLinuxと相性が良い
LIFEBOOKのBIOSーCSMがあり、古いブートローダーも動く可能性がある

参考サイト Linuxのインストール手順(レガシーBIOSモード向け)2025年10月備忘録
      Ubuntu日本語フォーラム

     
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