雪崩ビーコン中級講習を受けてきた話〜「1m切ったら迷うな!」が刺さった日〜

 1月25日、網張スキー場周辺において開催された岩手県勤労者山岳連盟主催の
   「2025年度 雪崩実地講習会(中級コース)」
に参加した。
 昨年、初級コースを受講しており今回は中級コースへのステップアップとなる。
 寒気団の最終日とのことだったが、気温は氷点下10度近くまで下がり、時折吹雪いて小雪が舞う天候。
 膝上まで沈む雪上をラッセルしながらの、なかなかハードな実地講習となった。

 参加者は男性5人・女性4人で、講師および講師補助の女性2人を含め総勢11人での講習だった。
 参加者の多くは登山やバックカントリースキーの団体に所属しており、一般参加は自分ひとり。
 使用しているビーコンもマムート、アルバ、BCAなどさまざまだった。
 自分のビーコンは6年前に購入したBCA(トラッカー3)で、バックカントリーに入る際は常に装着していたが、サーチモードを実際に使ったのは昨年の初級講習が初めて。
 今回は2度目の実践使用となる。

講習は以下の内容で進められた。

午前中
◯ 駐車場西側斜面にて
・弱層テスト(ECT)のデモンストレーション

◯ 南側の圧雪された場所にて
・埋没させたビーコンをサーチし、プローブでヒットするまでの一連の流れを演習

  (シグナルサーチ〜ファインサーチ)
◯ 南側斜面にて
・プロービングおよびショベリング(掘り出し)の動作と要領を演習

午後
◯ 開けた南側斜面にて
・チームに分かれ、
「複数埋没を想定し、捜索依頼を受けてからビーコン捜索、救出に至るまで」
の流れをリーダー以下、役割分担をしてシミュレーション訓練

 昨年の初級講習でビーコンによるピンポインティングの曖昧さを知ったが、今回の中級講習でさらに以下の点を強く実感した。

・ビーコンの矢印と距離表示が安定しない「ファジーゾーン」の存在
 (矢印が左右に振れたり、距離表示がブレる)

・埋没ビーコンが縦向きの場合、捕捉できるシグナル距離が極端に短くなることがある
 (埋没体勢などにより、ビーコンの向きは予測できない)

・ファインサーチ時は、距離表示までのタイムラグを十分意識して動かす
 (基本。「急がず、焦らず」。機種差、同機種間でも表示距離に差がある)

・マーキング機能が確実に作動しているかの判定は難しい
 (複数埋没時に正しく機能しているかを見極めるには、さらなる練習と経験が必要)

 今回の講習で特に印象に残ったのは、講師自身の体験をもとに語られた、次の言葉だった。

ファインサーチについて
 「矢印が消えて、距離表示が1mを切ったら、もう確実にそこにいる。横サーチはいらない。すぐプロービングしろ!」

掘り出し時のトリアージについて
 「複数埋没で、夫が1.5m以上、嫌いなやつが1.5m以下に埋まっていたら、泣いて嫌いなやつを先に救う!」

救出後、搬出が困難な場合について
 「掘り出しても一緒に下山できないと判断したら、残して行っても誰にも責められない。とにかく生きろ!」

 技術や手順だけでなく、
   「判断する覚悟」
   「生き残る側の責任」
を強く突きつけられた言葉だった。

 今回の講習だけで、複数埋没や深い埋没に的確に対応できる自信は正直まだ持てない。
 団体に所属していない自分には、日常的な練習相手もいない。
 それでも、
   「救助してもらうためのビーコン」ではなく、
   「いざという時に、自分ができる限りのことをやるためのビーコン」
として向き合う覚悟は、今回の講習で確実にできたと思う。

     
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